------------------------------------------------------------------------ 第2回すばる小委員会議事録 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 日時:  2005年3月7日(月) 午前11時―午後4時 場所:  国立天文台(三鷹)解析研究棟2階すばるTV会議室(ハワイとTV会議) 出席者: 有本、岩室、太田、小林、片ざ、斉藤、千葉、土居(三鷹)、      臼田、唐牛、高田、山田(ヒロ)、      市川(MOIRCS-GT計画レビュー)、柏川、吉田(書記) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― I 議題 ■1. MOIRCS GT観測の提案(市川)と審議 まず市川氏より、MOIRCS立ち上げの進捗状況とGT観測計画の説明(30分)があった。 これまでGTは20夜だったが、複数のライバル装置が今後1〜2年以内に立ち上がるため、現在達成できた世界最高性能を生かして早い時期に成果を出すべきこと、GTと並行して実施される共同利用観測、特にIntensiveとの競合が予想されること、等を勘案して、是非50夜の配当をお願いしたい、との提案であった。 各委員からは次のような意見が出された。 ・ UMの議論でも同様だったが、50夜認める方向で行きたい。ただ、観測データの公開とコミュニティ全体から研究者を募ることが必要。 ・ FMOS、新AOが入ってくるので、GT20夜でも時間的には難しい。 ・ 共同利用枠(65%)を削っても、成果を世界に発信できるのならよいのでは? ・ 共同利用枠にしわ寄せが行くことになるので、研究領域別に採択率を変える(現在は 均等)ことも考えられる。 ・ 観測データを公開する一方で、個人の業績を守っていく必要もあり、その兼ね合いが 難しい。特に院生の研究テーマ確保は必要。 GT提案受け入れの可否については、次回の委員会で再審議の上決定する。MOIRCSの 共同利用への公開は現状では時期尚早のためS05Bでは見送る。 ■ 2.  すばる望遠鏡のこれまでについて 本小委員会各委員のすばるの現状に対する理解度がさまざまであることを考慮し、統一理解を得るため、これまでの4種の評価資料について、概要説明を担当者を決めて行った。 * ハワイ観測所プロジェクト評価(共同利用関係)報告(山田) ・ 2003年度以降サイエンスに費やされる夜数が80%に達した。 ・ 応募件数はS03Bを境に減少しているが、これはサービス観測の開始という要因もあり、ユーザーの関心の薄れを意味するのかどうかは今後見極める必要がある。サービス観測を含めた全体の応募件数は毎期ほぼ200件程度で推移している。 ・ 共同利用夜数全体は増加したが、1件当たりの配当夜数も増えているため、採択件数は横ばいである。 ・ 利用頻度の高い装置は、FOCAS, SCam, IRCSの順。HDSは申請数が乱高下。一番少ないCIAOはPI装置になり、次に少ないOHSは公開中止が決まった。 ・ 論文生産はSCamが最多。 他の委員からの補足、質問。 ・ Gemini,Keck,VLTとの論文生産比較データがあるが、望遠鏡の立ち上げから最初の2.3年では遜色ない。VLTがその後急速に伸びている。 ・ 世界標準のimpact factorという論文引用の指標があるが、天文台では購入していないので、すばる関係の論文の評価の実態は不明である。 ・ サービス観測の採択は公開されているのか?――>セメスタ終了後に実施分をwebに公開している。 ・ 数年先にはD論何本という成果報告も必要になるのではないか?     * ESOメッセンジャー報告(高田) すばるの論文数はGeminiと同程度でKeckの1/3から 1/4。 Keckは年間150〜160本。また、La Silla と VLTを合わせた論文数は HSTを上回る。 但しこの資料の数字には信憑性に欠ける点があるとの指摘があった。 * 共同利用観測装置WG報告(岩室) このWGは、すばるの国際競争力を高めるため、現有装置の評価を行い、将来の運用へ向けての提言を行うために設置されたが、役割が二転三転した。各装置グループから報告書を提出してもらい、利用実績及び学術成果・装置完成度・将来性の3つの観点から 客観的な評価をするように心がけたが、個々の装置の事情(立ち上げ時期の遅れなど)は反映されていない。すばるの既存の装置を、国際競争力のあるものと汎用的価値のあるものの2種に大別し、各々適切な運用を行うよう提言した。 * 観測装置国際評価(臼田) 2004年7月にハワイ観測所で行われた国際評価会議の報告。Keck,Gemini,IfAから各1名のレビュアーを招いた。この会議は当初2回開催を想定し、part2が2004年末に予定されていたが、まだ実施に至っていない。 ・ 装置、望遠鏡などについて現状のパフォーマンス・運用について概して評価は高い。 ・ 評価の低い箇所は、1)装置の運用・メンテに必要なマンパワーを査定し整備すべきである。2)データ解析パイプラインが整備されていない。3)夜間オペレーターを削減し、観測準備やデータ解析をサポートする人員を増やすべき。4)持ち込み装置が少ない、など。 ・ 今後のためにAOに関する国際的情報交換が必要である。また、Gemini,Keckとの時間交換も積極的に進めるべきである。 ・ 日本型の運用は欧米型とは異なるので、コメントが難しい。 各委員より: ・ 一部の具体的提案について、例えばSSの負担軽減、パイプライン整備は既に観測所内で検討に入っている。 ・ 欧米式の運営方法は、まずボードが作られて方針決定機関となるが、日本ではやりたい人たちが提言して、それを認可する、という形態が多い。また、欧米では開発の初期にリスク覚悟で大量のお金がばらまかれることが多い。 ・ この委員会は現在の日本的システムを変えようとするのか、それともその中でやれることをやろうとするのか?―>システムを変えるのには時間がかかるが、装置運用プランの提言はできる。 ・ すばるの第1期観測装置が皆成功しているのは素晴らしい。ただ、もう少し時間差をつけて運用開始していれば、解析サポートがもっと充実できたはずである。 ・ 解析パイプラインの整備について、第2期観測装置だけでなく第1期観測装置も視野に入れて議論すべきである。 ・ パイプラインを整備するだけでなく、解析講習会等で人材を育成する必要がある。   それによってパイプラインの効率が違ってくる。 ■3. 本委員会の今後の進め方(有本) ・毎回、委員が下調べを行い、レビューする。分野をカバーできない場合はゲストにレビューを依頼する。また、毎回オブザーバーを招く。半年後には基本方針を決めて岡山UMの頃(今夏)にユーザーにフィードバックしたい。 ・今後の課題としては 1)短期的ビジョン     MOIRCS・FMOSの立ち上げ体制とGT、共同利用への公開についての指針 2)中期的ビジョン     解析パイプラインの整備 3)長期的ビジョン 30m望遠鏡計画も視野に含めたすばるの今後の10年計画について。 まず、本委員会メンバー+αでブレスト的ワークショップを開催し、2回目のワークショップはユーザーへの提言とユーザーからの意見吸収の場としたい。 ■4. OHSのdecommissioningについて(臼田) 先日のユーザーズミーティングでS05B期からのOHSの運用停止が説明されたが、一部ユーザーに強い利用希望があったため、観測所内でスケジュールの再検討を行った。 05年6月中旬 IRCS運用停止 05年10月上旬 OHS運用停止 05年11月1日〜30日 CISCO,HIPWACの運用停止、AO188及びIRCS用のレール敷設 05年12月中旬 CISCO,HIPWACの運用再開 06年2月  AO188インストール開始、IRCS共同利用再開 06年8月  AO188+IRCSの共同利用開始 この結果、今度公募されるS05B期に1ヶ月(05年9月)だけOHSが利用可能になった。 各委員より: ・decommissioningに関して本来は早目にユーザーに対するアナウンスがほしかったが、今回は致し方ない。 ・これを機会にdecommissioningのアナウンス時期を明文化しておく必要がある。1年前がよいが、現実的には半年前か。観測所内で検討する。 ■5. すばるTACメンバーの任期について(千葉) 任期1期2年の原則があるが、会議の継続性という点から、可能な方には2期お願いしている現状。委員の負担が大きく、最初から4年とお願いすると委員のなり手がいない。 任期を1期2年とするのか、2期4年とするのか決めたい。 各委員から ・最初の委嘱時に、なるべく2期、ということは伝えておくべきだ。 ・任期1期につき半夜の観測時間、などの特典をつけてはどうか? などの意見が出されたが、結局現状通り、1期2年を原則として、改選時になるべく 2期まで留任をお願いする。ただし無理強いはしない、ということになった。 ■6. 次回のテーマとレビュアー 1.MOIRCSのサイエンス面、運用面からの評価(片ざ) 2. MOIRCS/FMOSのGTを含めた短期的運用シミュレーション(山田) 3. 地上大型望遠鏡の装置開発の現状報告(唐牛) 4. すばるの今後10年の戦略的装置運用のロードマップ作成(委員全員) II 報告(唐牛) ・7月3日、4日のDeep ImpactのCall for Proposalsを近々公開する。 Keck、Gemini、Subaruの4台を使用する観測。すばるでは7月3日の所長時間を当てる。 ・今日のような話を委員のそれぞれが何かの折に幹事会議のメンバーに伝えてほしい。 次回 4月15(金)11:00−16:00 JST 配布資料一覧  2−1 ハワイ観測所プロジェクト評価資料  2−2 ESO Messenger 2004.6  2−3 共同利用観測装置報告書  2−4 第一回 すばる小委員会議事録(案)  2−5 第一回 光赤外専門委員会議事録  2−6 MOIRCS GT観測の提案書 (再配布)  2−7 2004 Subaru Instrument Review Part1  2−8 Geminiとの時間交換に関する資料  2−9 すばる観測装置評価WG報告(追加;岩室)  2−10 すばる小委員会の方向性に対するALMAからの提言(追加;斉藤)  2−11 OHS運用停止開始時期の再検討結果(追加;臼田)