第4回光赤天連SPICAタスクフォース議事録 日時 2009年4月24日 場所 宇宙研 参加者 (STF) 市川、山下、今西、齋藤、泉浦、川良、高見、河野 (プロジェクト側) 松原、松本、中川、かたざ、塩谷、和田、白旗、 長谷川、大坪、小谷、大薮、稲見、左近、尾中 *現状説明(中川) ESAのCosmiv Visionのセレクションついて Lクラスはとても間に合わず延期。 このため6個のMクラス提案から2-3個のセレクションとなるだろう。 *SPICAのMRD(ミッション要求書)について Q: サイクル1はいつ終わった? A: サイクル1は3月で終わり、サイクル2はSRRまで。 *SRRに向けて今後の予定(松原) Q: タスクフォースからの提言書の意味?出す先は? A: われわれのプロジェクトにコミュニティーからの提案、サポートを 受けているという証として欲しい。 ----> 下で今一度議論したので、要参照 Q: MRDは公開しているか? A: 公開していない。公開するようにしたい。 Q: 中間赤外線装置の遅れはどのくらい深刻か? A: SRRに対しては遅れている。ワークショップでの科学的検討の前提として、 これ以上無理、という上限の機能を示すことになる。 *FPC(焦点面ガイダー)に関する説明(松本) Q: 国立天文台に、具体的な人の当てはあるのか? A: 探している。 C: FPC-Sは冗長系という観点からバックアップとして必要である。 Q: サイエンスバンドの波長は? A: Kバンドより長い波長。 Q: ガイダーにInSbを使うのは? A: 読み出し回路が低温で動き、発熱量が小さいから。 Q: 冷凍機がなくても37Kまで冷えるか? A: まだ見積もりができていないがおそらく大丈夫だろう。 A: SPITZERのことも考えると、大丈夫だと思う。 Q: パラレルサーベイとは? A: 他の観測装置が観測しているときに絶えず観測する。観測場所は選べない。 データ量の見積もりはまだである。 Q: ワークショップではこのカメラをどう扱うか ->後で、 C: 日本語で議論したい。日本語のわかるImさんを呼んでは? *FPI装置の検討状況の報告 --コロナグラフ(塩谷) --SAFARI(中川) PI InstituteがイギリスのRALから、どこか別の機関に移る。 複数のInstituteが手を挙げてくれている。詳細は6月に報告。 *MRDの説明 --系外銀河(松原) ---種族III天体探査(齋藤) Q: JWSTとの競争力は? A: Slit scanでのサーベイ能力は上だ。 A: JWSTは低分散の分光器が、5-10ミクロン。 Q: 観測時間は? JWSTとの競争力の見積もりが重要であろう。 A: 見積もりましょう。 Q: MRDにPopIIIと書いていいのか? 約束しても難しいのではないか? C: 地上はすでにz=7に到達している。SPICAではz=10が目標ではなかろうか? C: TMTはz=7以上を目指している。 C: 地上のLyαとHαをあわせることには意味がある。 C: MIRACLEの分光感度を、早急に見積もる。 --- Objective 2と3に分かれた。(松原) --- Objective 4 Q: どうやってAGNを抽出する? A: 地道にフォローアップをすることになる。 --- Objective 5 (松原) Q: 質量集積という観点だと星をみる波長がベストで、地上でも可能では? C: サブミリ銀河の大規模構造が見つかったが、吸収のため地上Kでは受から ず、質量を見積もれていないものがある。 C: 質量集積と星生成を是非同時に見て理解すべきだ。 --- (江上・代理松原) z=4-10の宇宙での星形成史。 コンヒュージョンがない場合の感度で議論されている。 コンヒュージョンを考慮すると科学目的の達成は困難。 ---まとめ(松原) High-zのサイエンスを練り直したい。 Q: 赤方偏移をどうやってきめるのか? A: 10ミクロン帯(5-30ミクロン)のPAHやシリケイト吸収フィーチャーを 使うことになるだろう。 --物質循環(左近) Q: AGBからのPAH検出を目指す戦略は? 近くにたまたま励起星のあるAGB星 からのPAH放射ではなく、AGN星の可視光放射で励起されたPAH放射の検 出を目指すということか。 A: そうだ。 Q: 紫外光がなくてもPAHは励起されるのか A: そうだ。なぜなら、紫外線の弱い天体からも、PAHが受かっているとい う観測事実があるから。 Q: 衝突励起のPAH輝線はないのか。 A: あるとしたら小さなPAHだろうが、まだ例は見つかっていない。 Q: SNのガスを観測する意味は。 A: 周囲の星間物質との相互作用を見たい。 Q: 20ミクロンより長いところのPAHの観測の意味は? A: 実験室でも最近始まったばかりである。面振動というモードがあり、 サイズへの大きさの制限となると考えている。 Q: 感度への要求は? A: 感度がリミットしているわけではない。Diffuseを目指すので、 Herschelでは届かない。HerschelからSPICAへの感度の向上は重要だが、 それ以上の感度が必要というものでもない。 Q: ALMAとの連携も重要となるだろう。 ---超新星残骸(尾中) Q: どれくらいのスケールでサーベイすべきか? A: 系外、LMCなら、SAFARIの2'の視野で十分。 ---近傍銀河(金田・代理左近) ---銀河面環境(泉浦) 撮像・分光サーベイ C: 天体を光源とした物質の吸収の研究もできるだろう。 Q: バンドについては? A: とりあえず、同時にとれる2カメラの2バンドで。増えるのはウェルカム。 撮像サーベイに必要な観測時間は短いので増やすことは可能なはず。 Q: マルチスリットをやるには、スリット交換機構が必須であろう? A: そうなる。またプリズムの開発も必須。 C: JWSTでもできるかもしれないが、16分の1の視野しかないJWSTが本当にや るだろうか。モザイキングが大変になるのではないか?  A: SPITZERの例を見ると、向こうにはマンパワーが多く、多少困難でも やる能力はある。 Q: 地上望遠鏡に比べて、宇宙からの意味は? A: 中心星は3000Kだが、星周ダストが多くて一見300Kに見える天体は、地 上では受からないが、中間赤外線では受かる。あらゆるタイプの天体が 受かるのが利点。 Q: 感度はどこに設定するのか。アーカイブで研究する立場からは、 色々な波長で感度がマッチしているのがベスト。一つだけ非常に深くても あまり嬉しくない。 C: その議論は変ではないか? SPICAが深く観測すれば、他の波長でそれに マッチするような深さのサーベイが出てくるはず。 C: Legacy的にもに実行すべきだろう。そうするならサイエンスの目標を もっとクリアに。 --太陽系形成(高見) C: 分光器の詳細感度が必要 C: 我々はマンパワー不足で余裕なし。是非自分自身で計算して下さい。 A: 計算をします。チェックをどなたかに確認して欲しい。(->たぶん左近さん) C: 原始惑星系円盤の水素分子の検出は、JWSTにたいして不利だろう。 C: 28ミクロンは勝てる。 C: 17ミクロンに比べて、弱いし、臨界密度が小さく、diffuse成分のコンタミ が大きいかも。 C: 何を見たいかによって、どちらがベターかの議論が変わるはず。 C: 有機物質の固体に関することを書き加えたい。トランジェット方では、 巨大地球型に限定するよりは、木星型も含めるような記述にしたい。 塵円盤の観測にコロナグラフは必要。 Q: MIRACLEによる30ミクロン帯での塵円盤観測に、簡易コロナグラフが必要か? A: あるとおもしろい。 Q: 分光の場合、中心星をスリットから外して観測すれば、コロナグラフのよう にならないか? C: 差分法はゴーストの観点から苦しむことが想定されるので、マスクはあると いいだろう。 C: 分光器にはマスクをいれるのは、簡単ではない。 --太陽系(大坪) 天体が移動することを利用して、2回の観測を差し引きすることで、銀河の コンフュージョンを回避する。 Q: 視野サイズへの要求は? A: 現在のSAFARIで十分であるが、これより視野が小さくなることは好まし くない。 Q: 要求装置に、MIRACLEとMIRHESが追加されているが? A: 今回の資料は外縁天体のサイズとアルベドに集中している。しかし彗星につ いての研究の記述を追加の仕方を考えている。その場合は、中間赤外線分光 機能が欲しい。 Q: 1000個の根拠は? A: 現在見つかっているものすべてをやる場合である。小惑星の場合、1000個や って、タイプが見えてきた。 C: 同じようなアルベドばかりだったら、もっと少なくてもいいのでは? 各タイプごとに何個という議論も考えるべき。 A: 似た軌道のものは、確かに似たアルベドを示すかもしれないが、異なる軌道 のもののアルベドは異なることが期待される。 Q: 黄道面だから、黄道光が感度にきいてくるのでは。 A: 短い波長はそうである。 Q: コロナグラフの分光器、高分散分光器への要求? A: 分解能30000ほしい。波長カバーレッジへの要求は検討中。 Q: 28ミクロンは、やはり興味がないか? C: 今度のワークショップで、理論計算の発表の後、議論したい C: コロナグラフは、分解能は100を目指す。暗いものに対して、もっと低分散も 考える。波長カバーレッジは、3.5ミクロンまでの短いところを目指したい。 長い方は、検出器の関係で27ミクロンまであるが、科学的要求があまりないこ と、リソースの削減から、少し妥協したいと考えている。 Q: フィルターの検討は? A: まだであるが、何らかのピンポイントもJWSTみたいに準備したい。 *MRDの公開 6月のサイエンスワークショップに向けて、MRDを公にするタイミングについて 以下のとりまとめ役の作業が終わり次第、できるだけはやく公開する とりまとめ役の改訂作業は、ゴールデンウィーク明けまでが目標。 [MRD取りまとめ] 全体の取りまとめ、松原 系外銀河の取りまとめ、和田 物質循環の取りまとめ、左近 太陽系形成、太陽系、高見 *タスクフォースからの提言書 提言書ではなく、MRDをタスクフォース+光天連とプロジェクトの共著という形 にまとめることにした。 Q: 締切は? A: MRDを7月1日にJAXAに提出する。これに含めたい。よって、7月1日のちょっ と前。 Q: 提言書の位置づけ? A: 前の第1版から、タスクフォースからのインプットをいれているものが第2版 となり、JAXAに提出したい。 C: 第2版MRDを、タスクフォース+光天連とプロジェクト側との共著という形 にしてはどうか? A: そうしよう。 MRDを完成を目指して、足りないもの等の宿題は、松原さんから出る予定。 *国内サイエンスワークショップ MRDをたたいてもらうような形にするが、一般参加者も受け付けた方が、聴衆が 集まるので、そうすることにした。 招待講演者のリストアップ。SPICA TF外の人で、新たな観点から提案してくれそ うな人がメイン。 *観測時間配分の素案(中川) Q: ヨーロッパ側にGTという考えは馴染むのか? A: すでにヨーロッパには提示して理解してもらっている。 GTは不要という人もいる。装置家だからだろう。 Q: Legacyは、Open Time for member countriesの一部か? A: そうだ。 Q: 結果的に装置チームがLegacyを取ることになるだろう。 A: そうなるとは思っている。 *観測装置の選定の仕方の素案(松原) ESAのYellow Bookには、ESA担当の望遠鏡への要求との整合性から、今のところ オプション扱いであるコロナグラフ装置が、システムリソースと矛盾なく搭載さ れている記述にする必要がある。 Q: 装置の選定は、 A: 透明なプロセスであるためには、なんらかの公募をする必要があるのでは? Q: どこが公募する。 A: 公募はプリプロジェクトがする。選定委員会に選定を委託する。 Q: 公募にどのように意味があるか? A: 公募することで、各チームの組織強化のきっかけになるという意図もある。 Q: 今までこのような形を取ったものはあるのか? A: ヨーロッパとの合同金星ミッションBeppi Colomboで、行った。 Q: 公募をすると、チームを組めたところだけを、選定するということにな るが。 C: 装置の落選というよりは、装置機能の限定ということも期待できる。 (松原) 今回はまだ素案である。議論は続けたい。 *次回のタスクフォース 5月26日、 ワークショップの前に、装置の選定法や研究コンセプトの素案を示して、 タスクフォースに揉んでもらう。