第7回光赤天連SPICA タスクフォース議事録 日時: 2009年8月18日 9時30分-12時30分 場所: 宇宙研 研究管理棟 6階 1606号室 国立天文台三鷹、東北大、台湾ASIAA 参加者: ISA 斉藤,中川,大藪,松原,塩谷,片坐、 和田,高橋,左近,小谷,泉浦,白旗,高木 東北 市川 三鷹 今西、山下 台湾 高見 1. ロケットフェアリング構成案議論経緯 ロケットの設計の問題で,主鏡口径を85-90%縮小しなければいけない可能性がある。 長くて太いフェアリング5S-Hを使う事を希望していたが,これはHII-A204に使えない ことが判明した。フェアリングの開発にはお金と時間がかかり,作り直しは困難。 選択肢は,HII-A204&5S もしくはHII-B&5S-Hの組み合わせがあるが、HII-Bはまだ 飛んでいないので,フライト実績なし。来月打ち上げ。 ・HTV(国際宇宙ステーションへの無人補給機)以外の科学衛星を打ち上げてくれ るかわからない。 ・打ち上げ能力を考えると,SPICAは軽すぎる。ダミーマスが必要。 ・HII-Bを前提に提案するのは,現時点では難しいのではないかとの指摘を受けた。 ・HII-A用の大きいフェアリングを開発すると,コストの大幅な超過がでる。 C. 9月に打ち上げるようなものを「実績無し」という理由で考慮しないのは問題では? A. 中性的な書き方にしておく。 一方,HII-A204&5Sの保守的な組み合わせでは,現在のSPICAの設計では収まらない。 想定していた5S-Hより3m短いため,影響が大きい。この場合,主鏡を85-90%小さくする ことになる。小さくすると,衛星設計上いろいろとメリットはあるが,科学的な目的が 達成できるかの検討が必要。 ここでの議論が収束すれば,SRRでは縮小案でいきたい。 Q. 装置の大きさも縮小させるか? A. 大きさも重さもそのままでよい。衛星が軽い分,装置を重くできるかは要相談。 Q. コストの超過は全体に比べてどれくらいなのか? A. JAXAのプリプロジェクト審査でのロケットの打ち上げ,衛星製作を含めた全体に対 して10%の超過。これは,不定性を含めての最大予算なので,この額を越えるのは 良くない Q. ほかで10%減れば問題ないのではないか A. 難しい問題。すでに冷凍機などで超過するかもしれないとも思ってる。 Q. SRRの段階で決定するのか? A. 実際にはSDRで決定する。ただ一度縮小案でいくと決めたら変更はしたくない。 Q. HII-Bの将来計画は?HII-Aは残るのか? A. HII-BはHTV専用機。1年に1機の頻度で打ち上げる。HII-Aは衛星用の主力ロケット として残る。 A. HII-Bで科学衛星を打ち上げるには,手続きが面倒な状況。 A. HII-A204&5S-Hの開発は,新しいロケットの開発並みの予算が必要。 A. HII-Bの打ち上げ実績が伸びたとしても,コストは下がらない。逆に上がる傾向。 Q. 望遠鏡全体のF値は? A. いま検討中。 Q. 鏡面精度は上げられるか A. 鏡面精度を現状とすると納期が短くなる。精度を上げるためにはさらにJustificationが いる。 C: HII-Aで再検討するのが現実的だろう。 Q. 望遠鏡の設計がESAだが,我々で少しは担当できないか A. 8月で設計の予算が切れるが。契約会社と日本が直接契約するのはESAに否定された。 こちらの内部スタディーとして衛星設計をするのは良いだろう。 Q. バッフルの角度の影響は? A. 太陽側のほうの制限がきつくなるが,反太陽側は同じ。ある天域の観測期間は45日 から30日に変わる。 Q. 衛星の設計はどこで行っているのか A. ヨーロッパの会社や日本の会社と検討している。検討内容はTFに報告する。 望遠鏡のパラメーターをもう少しがんばれるかもしれない。装置への要求(視野,けられ) を甘くすれば,口径の大きさもがんばれるか? Q. 85と90%の違いはどこからくるか? A. 細かいパラメータの違い。85%が工学的に正しい値。90%は目標値。 C. 望遠鏡の視野は,30分から75%くらいまで縮小することは可能だろう。FPC-Sが厳しい。 A. 90%の縮小の場合,有効口径3mを死守するとなると,30分視野を25分くらいにすれば良 い。 C. 有効口径3mがぎりぎりなので,これをがんばって死守したい。 Q. 他のところで努力となるとマンパワーが必要だが,大丈夫か? A. 外部に頼むなど。また,小谷の仕事とかぶるのでお願いするかもしれない。 A. 現実的にFPIを詰め込むのはかなり大変。90%に縮小し,有効口径3mを死守するという方 向で科学検討をすすめる。 Q. 装置仕様への変更要求は? A. 中間赤外は視野重視なので,設計はより簡単になっていく。 A. コロナグラフについては,時間とお金を使って検討したい。重さが増える分も許容して もらえると助かる。 2. 観測装置の検討 重量配分は中間赤外(60kg), FPC(10kg),SAFARI(50kg),コロナグラフ(30kg),BLISS(30kg)、 IOB(50kg)、他含めて全部で200kg。視野の配分の検討もすすめている。 Q. BLISSの視野の配分は A. まだ考えていない。 C. MIRMES, MIRHESも視野配分に含めることにする。文章でより細かく説明するのでも良 いだろう。 3. 装置の状況 MIRACLE(和田) ・光学系の設計が進んだ。片坐氏を中心に,新しい解をだした。    ・検出器はメーカーとコンタクトをとっている。ダークが大きくなるかもしれないが, サイズは確保できそう。検出器は大きいが,口径の縮小で設計は楽になっている。 ・5-26umについてはJWST用に1Kx1Kは完成している。 ・2Kx2Kのシリコンヒ素はR&D。その場合分解能を上げて5umまでナイキストサンプリング を目指す。ただし、発熱を押さえるためには読み出し時間がかかる。最短積分時間は長 くなる。 MIRHES(片坐) ・光学系の検討の結果,広い視野がとれた。非球面はたくさんはいってるが,旋盤でつく れる程度。 ・Highレゾの長い方の分光の要求があるので,検討を進めていきたい。読み出し回路の開 発はある。 MIRMES(左近) ・MDDのテーブルの値は古いので,要改訂 ・フォーマットをいじる可能性はあるが,大きい変更ではないだろう。 コロナグラフ(塩谷) ・光学設計を進めた。MDD参照 ・MIRACLE等との調整を今後行う。 ・物理的に薄い装置になっているが,第一案なので大きく変わる可能性あり。 SAFARI ・1ヶ月前から変更なし。 BLISS ・NASAが30kg程度の装置としてStudyの募集を開始した。decadal surveyの結果を待って いられないので,早めの対応をしている。最終的にはサーベイの結果に左右される。 Q. BLISSが来た時に断る場合はどのようにするか。断る理由があまりないのでは。 A. FPI間の戦いになるだろう。SAFARIは望遠鏡との一体と考えている Q. BLISSのお金だけでは,BLISSを乗せるには不十分なのではないか。SPICA全体への 貢献があれば話は違う。 A. いろいろなオプションで交渉はしている。 C. BLISSの話とセットにすればいいだろう。ただ,日本のロケットにNASAがお金を出す など,制度的に問題がある話もからんでくる。いつかは政治的にBLISSについて決定 を下さなければならない。 C. 上層部には,NASA-JAXAのバイラテラル会議というのがある。この会議では,Decadal Survey待ちという結論になっている。 C. 決定権は我々にあるが,段階によって変わってくる。彼らが予算要求を出したら, こちらにもある程度義務が生じる。 Q. いまの時点でBLISSは必要か A. 系外のコミュニティーにとってはかなりウェルカム。物質循環を重視すると, BLISSは必須ではない。 C. 3mになるとBLISSへのインパクトは大きい。まだBLISS側には伝えていない。 3.観測装置の仕様決定プロセス 透明な仕様決定プロセスを踏みたく、STF内のサブメンバーで検討している。 ・国内公募をする。 ミッション要求書に沿った提案をしてもらいたい。レガシーサイエンス,観測プログ ラムなども含める。 ・観測装置の優先度はあり。優先度の高い,中間赤外線カメラや焦点面ガイドカメラ については仕様はあらかじめ設定する。 今後,実際の審査の進め方などを具体的に決めていきたい。だれが審査するかなどに ついて意見が欲しい。 ・学会後に公募のアナウンス 4. ミッション要求書の改訂など ・文章はある程度できて来ているが、一部遅れている ・エクセルの表にまとまっている内容を簡単な文章にまとめたい。口径3mの影響も含める。 ・細かい調整(レファレンス,図のナンバリング)はまだかなり必要。 ・サイエンスの要求で,3.5m以上という項目が残っているので,要注意。3m級などの言葉 に変えたい。 ・口径3mの影響など 物質循環:データ量の見積もりをした。4.2Mbpsくらいで対応できるだろう。 3mになることで,感度が30%悪化する。時間的に損をする。 太陽系:データ量の見積もりは,飽和限界などの基本情報をもらえれば計算する。 C. 資料を読めば書いてあるので,参考にして欲しい。 Q. オンボードでのデータ処理に依存するので,どの値を採用するべきか? A. 衛星の仕様を決めたいので,処理済みの値であると助かる。ミッション要求書に ある程度書き込もう。 Q. どのようにオンボード処理の仕様を決めるか? A. 装置ごとにある程度の目安をだす必要はある。サイエンスの要求も欲しい。 Q. エクセルフォームの観測期間は,どういう数字か? A. 観測期間と,観測時間を別に考えないといけない。サイエンスからの要求で,何シ ーズン必要かなどを考慮して,必要な観測期間を記入して欲しい。 C: 口径縮小の影響は,Confusion limitにもよる。 A.(竹内資料を参照のこと)3.5と2.9mで2倍くらい変わる波長帯もある。 Q. 10um帯で影響が大きいのは?またインプットSEDは? 系外銀河:ピクセルスケールと口径が変わるったことによる感度の検討。 有効口径3.5と3.0mで,S/Nが0.7倍になった。 JWST/MIRIに勝てる波長帯は,18um以上から21um以上に変わり, 狭まった。 C.観測時間2倍になったが,目標をどう設定するかは,今後検討する。 物質循環:径縮小の影響(3.5 -> 3.0m)+口径縮小にともなってピクセルスケー ルも変えて対処した場合について検討。 C. ピクセルスケールを大きくすると,Diffuseな場合には感度はあまり変わらない。 C. 点源については35%程度の感度悪化。飽和限界は上がるので,明るいものにメリッ トがある。 C. 遮蔽面積の要求は10%。現状12.5%。 5. 今後のすすめかた 口径縮小の影響で,難しくなるサイエンスは、各サイエンスへの影響の検討を進めていく C.コロナグラフへの影響が大きいだろう。 ミッション要求書を8月末までに仕上げたい。口径縮小の影響を矛盾なく取り入得れる。 Yellow bookとの整合性もチェックする。YBは3.5m案のまま。 「ミッション要求」の章の分担をしていきたい。TFメンバーのサイエンス割り振りがあった ので,それに基づく。 おそらく11月にSRRがあるので,9月末をミッション要求書の目標にする。 松原から,高見,左近に執筆分担依頼を行う。 SAFARIへの口径縮小の影響を検討する必要がある。中川からSAFARIチームにお願いする。 望遠鏡の納期についてはコロナグラフの仕様を満たす鏡はなかなか大変。 2017年度は難しい。2018年度が現実的である。日本から主張しないと,ESAがコロ ナグラフを諦めようと言ってくる可能性もある。 C. ヨーロッパでコロナグラフの研究会を開いたらどうか。 C. コロナグラフなしではSPICAではない,という態度で臨んだ方がいいだろう。我々 自身の意思を固めるが必要ある。 C. 10^-6の達成可能性を,実際の装置設計に基づいて示して欲しい。装置の誤差を含ん でも大丈夫かを知りたい。9月一杯くらいで出せないか? C. 9月学会,または別の機会にコロナグラフの決起集会をしたらどうか。 そのためにも,装置の実現性を示す資料が欲しい。 C. この検討を焦ってさせてはいけない。しかし,ヨーロッパ側でコロナグラフについて 判断をする時期は,そう遠くない。 C. SDRまでに,TRL5のレベル(飛ばしても大丈夫と言えるレベル)は満たさないといけない。 Yellow Book対策。11月末までにサイエンスの部分をアピーリングにする。 C. 2月を目標に,望遠鏡の仕様も含めた場合のコロナグラフのパフォーマンスを 示す資料が必要ではないか。 学会では,口径問題やコロナグラフの問題も含めて報告した方がいいだろう。 光天連では誰かが報告する。 山田亨氏に光天連総会の日程を確認し,SPICAに時間を割いてもらうようにお願いする 観測装置の公募アナウンスの準備を進める。