現在の設計状況
太陽工業の人の話では、標準在庫品は無いので自由に設計して構わないとの事だったので、栗田案をベースにトラス構造を設計した。ポイントは、
- 扇形鏡をバームクーヘン状に3つの部分に分け、内側の部分からそれぞれを半径方向に 2,3,4 分割(面積が同じになるようにする)。一つの領域を2つの Axial 支持点で支える(9点支持では変形が大きいが、18点なら許容できることは FEM で確認済)。
- 3領域を結ぶ三角を考え、その重心にアクチュエーター軸を置く。その部分にグローブが来るものとする。
- 鏡一つあたり3個所のアクチュエーター軸を結ぶ三角を元に、ベースとなるトラス構造を考える(下図水色線、青線、灰色線)。
- アクチュエーターは、トラスを上手に避けながら置く必要があるが、結構難しい。
CELT アクチュエータ(出典元)に近い方式のもので、できるだけ高さが低くなる構造を考えた。また、グローブはてこ部分がトラスに干渉しない範囲でギリギリまで面取りして、高さを抑えることにした。てこ部分は、設計通りに機能することを FEM の計算で確認した。
- Lateral 方向の固定ポイントは3個所でいい事が FEM 計算で確認できたので、吉田案を元に、重力方向に上になる側から板バネを介してカウンターウェイト付のレバーで引き上げる。下図では、レバーの支点はグローブの26.6°斜め上方向で支えている。板バネの断面積は 100mm x 0.5mm = 50mm2 で、鉄板の場合、100kgw の荷重で 10μm 伸びることになる。
● 現在の CAD 図面はここです。
● トラス部分の CAD 図面はここです。
● 使用予定のリニアアクチュエータはこちら。
● 使用予定の非接触センサーはこちら。
試験的に製作する部分はこれだけ。
Lateral support の方法に対する吉田案。
ANSYS による変形解析
岡山観測所の服部君に、トラスの変形の解析をお願いした。
変形量は約70μmで、少し大きいがまずまず予想通り。
トラスのパラメータ
- 密度:7.85 g/cm3 (0.00785 g/mm3)
- ヤング率:210 GPa (2.1e11 N/m2 = 2.1e11 g/mm/s2)
- ポアソン比:0.3 (0.3)
- 直径:60.5 mm (60.5 mm)
- 厚さ:3.2 mm
- 断面積:5.760 cm2 (576 mm2)
- 断面二次モーメント:23.7 cm4 (237000 mm4)
● 太陽工業の解析レポートはこちら。
● 太陽工業の解析レポート2はこちら。
太陽工業の1回目の評価では服部君の計算より若干変形量が大きく90μm(B 案では
100μm)と出たが、これは固定点が吊り下げ(z固定)のみの拘束条件だったので、
xyz拘束である事を伝え、B 案について再評価してもらった。その結果は、服部君の
計算結果とほぼ同様な値(B 案で 80μm)であった。
以下、服部君の解析結果(B 案では変形量は以下の計算値の1割増程度)。
トラスの組み方について
| 栗田案:トラスの長さ 75cm 直感的に最も理にかなっておりシンプルだが、そのまま正四面体で下段に繋ぐと、下段が隣とうまく繋がらない(左下部分)ため、どこかを変則的にする必要あり。また、正方形部分が入っていることによって、強度のどのような影響が出るのか気になる。また、鏡の保持をする三角形部分の重心からトラスの節部がやや外れる。 |
| 岩室案:トラスの長さ 55cm トラスが短くなるため部品点数がかなり増えるが、その分鏡の保持をする三角形部分の重心に近いところにトラスの節部を配置することができる。全て正三角形で構成されるため、下段への接続は問題ない。 |
| 重ねたところ |
iwamuro@kusastro.kyoto-u.ac.jp