セッション4: スペース班中間報告(2014年9月9日(火) 9:30−12:10)   *** 質疑・議論メモ ***  (Q:会場からの質問 A:発表者による回答 C:会場からのコメント) ◆概要(松原) ◆SPICA(芝井) Q:ヨーロッパの不一致とは? A:Plan-Bは本当はLクラスで出すべきだが、遠赤外線干渉衛星のLクラス   提案もあり、意見の不一致があった。またSAFARIコンソーシアムは欧州   赤外線業界の全体を代表しているわけではない、という見方がある。 Q:Plan-Cとは? A:オプションとしてはあり得た計画だが、現時点では議論する価値はない ◆JASMINE(郷田) C:正式な通知が行っていない理由は不明だが、不採択。評価委員会から   の指摘は、コストをキープしつつ衛星寿命を伸ばせるか、を検討すること   と読みとるべき。 Q:ナノジャスミンの打ち上げ見込みは? A:ウクライナ情勢次第。他のロケットは高いので待つしかない。 ◆JTPF&WACO(田村) Q:9桁のハイコントラストを達成できる理由は? A:Deformable Mirrorを積んでいる Q:原始惑星系円盤研究等にも使えそうだが、系外惑星以外のサイエン  スの可能性は? A:薄い残骸円盤を高い感度で検出できるのでおもしろい。 ◆WISH(山田) Q:波長の相補性について。2um以上だけに限らず1umから持つ理由は? A:赤方偏移の決定にとって1umまでの情報は必須。提案はWISHの方が先だった   が、もしWFIRSTが先に実現するなら長波長に重点を置く可能性はある。 Q;サイエンスはシンプルで面白いが、WFIRSTはなぜ5umまで行かないのか? A:2.4m望遠鏡の仕様が285K、なんとか250Kまで冷やそうとするが、それでも   2.4umが限界。WFIRSTの主目的はdark energyなので、その為には可視が最適 Q:ということは、既存の望遠鏡を使うWFIRSTよりWISHはより野心的。技術的な   課題は? A:低温望遠鏡の支持などに技術課題あり、保持部の試作試験を進めている。    望遠鏡全体の地上冷却試験をどう実現するかも課題 ◆Euclid/WFIRST(住) Q:お金の協力については? A:お金よりも、装置の提供(コロナグラフなど、10億円規模)を中心に検討中 Q:$100Mでコロナグラフ実現可能との事だが、日本負担の10億円では足りない  のでは? A:フルでは無理なので、日本は一部を負担。 Q:アメリカの決断時において、WFIRSTの機能限定の可能性は? A:コロナグラフがなくなるなど、デスコープ可能性はある ◆スペース計画の議論 司会:議論のポイントを整理したい(スライド):  ・宇宙研新スキームに適合するシナリオ構築  ・SPICAについての議論 Q:SPICA実現にはコミュニティの参加が必要との事だが、どのような参加が  求められているのか?    C:もしSPICAが止まった時、外部からコミュニティへの信頼を失い、他の光赤外  スペース計画すらも実現できるとは思わない。 Q:宇宙研新スキームに適合する範囲内で考える必要が本当にあるのか? C:宇宙科学探査部会でのシナリオ構築が昨年あり、今年はその中に具体的な  プログラムを入れていく議論が進行中。そういう意味でスキームをひっくり返す  議論は直近では厳しい。ただしSPICAの日本負担分の予想コストは現在の戦略的  中型の枠に入っていないので、その議論はある。 C:宇宙科学の従来枠を超える計画の議論が2011-13にされたが、概算要求には  のらなかったので、今は戦略的中型の枠内でという経緯。 C:戦略的中型は15年間で4発。それらをどういう順で実現させていくか。そ  の中に光赤外がどう入っていくか?  皆が参加しないと実現できない、という芝井さんコメントは金言で、SPICAに  つながる形でWISHを提案するシナリオもある。 司会:SPICAの実現は早くて2028年、その前に何もなしでも良いか? C:WISHの提案はSPICAをやらないという意思表示だと思う。    SPICAの推進はISAS/JAXAの使命として進めてきたという意味。 C:ここでの議論というより、宇宙研内部がどう考えているのか?ではないだ   ろうか? C:光赤外コミュニティでの議論だと思う。戦略的中型を超えた枠は「科学」   を超えた議論が必要。それは難しいという判断。   SPICAの実現は非常に大きな責任、コミュニティとして選択と集中でみん   なでやっていく議論が必要 C:心配しているのは、SPICAの実現2028年までどうつなぐのか、というこ   と。サイエンスの観点も、人的な観点も。   やがてスペースに出なければならないという意見は賛成だが、その道を絶や   さないという観点も重要。衛星ではなく、ロケットや気球かもしれないが。 C:SPICAの実現は実行部隊としての宇宙研でやって行くが、ユーザーがいないと   意味が無い。やめた時に外から信頼されるのかという問題もある。   また赤外線は地上で人材育成ができるのがX線との違い。その道を検討する   のは?   もちろんロケット気球もあり。Nano-JASMINEのように小さなアイディア勝負   のミッションというのも素晴らしいと思う。 C:私は小さな実験をも進めているというのが一つの意思表示。SPICAにもつ   ながる拡がりをもつ。   SPICAとWISHの両立は難しい。SPICAのデスコープに対する再評価は必要。 C:戦略的か競争かについて: スペースに関しては戦略的に進める、ではな   いか? 競争はありえない、小型といえども安くない。   他の分野も戦略的に進めている。競争的に進めると全部がつぶれることを   懸念。光赤外には地上があるので、それもからめながらどう進めるかという   議論が必要 C:TMTとSPICAの両方をやるという機運だったが、今のSPICAはその時のSPICAで   はない。科学的価値をもう一度再定義せざるを得ないと思う、将来計画の議   論はまさにその場にすべき。 C:サイエンスに関しては現在SPICAチームで検討を進めている。    来年3月までにESAの技術検討レポートが出る。その進捗を見ていてほしい。 C:SPICAのポテンシャルを明らかにする事は重要。    いくつかの想定されるケースでの数字がないと検討するのが難しい。    なにか具体的な検討用の性能は出せないか?ファクトシートまでではなく    (仮)でも良いので。 C:それは可能。視野を拡げられるか?などを考えるとややこしくなるが。 C:日本負担分のコストを300億にしなければならないということなのか?    欧州の不一致問題に対する解決見込みは?    せっかく議論したのに、実現性の見込みがないと無意味になるのでは?    それに対してWISHの価格は?    C:ESAのコストがMクラスに入るかが焦点、それを3月までにむこうで議論    欧州コミュニティの一体化の努力も進んでいる    コストの差に対する議論は不十分、私見としては枠を外して頻度を減らす    べきと考える。 C:(WISHのコスト)不定性が大きいが、打ち上げ費用こみの300億のコスト   キャップに収まるように検討中。   検出器が数十億だがアメリカがMission of Opportunityに提案する。 C:SPICAと、WISHやJASMINEとの相互関係は?このままだと議論が総華   的に終わってしまう。 司会:重い議論なのでシナリオ策定は、コアメンバーだけで議論し決めること   にしましょう。 C:WISHが採択される為には、コミュニティのロードマップで最優先であるこ   とが必須。応募締め切りまでにコミュニティの合意が必要。なおWISHが応募   するからと言って、(実現時期がずれているので)それでSPICAが不可になる   わけでは手続き的にはない。 C:SPICAをデスコープすれば早い実現は可能か? C:ヨーロッパのタイムラインで決まっているので難しい。 C:(シナリオ策定は)実現した時には若い人がユーザー、なので密室では   決めたくない。 司会;(新生タスクフォースの立ち上げについて)現在の候補者に装置に明るい人  が少ないので、メンバー追加を検討中。すると総会には間に合わない。 Q:総会の承認までは不要では? 司会:総会ではタスクフォースのタスクが変更になったことの報告のみにして、  具体的な人選は運営委員会+プロジェクトに一任してもらうことにしましょう。 司会:競争か戦略的か、の議論に戻りましょう。 C:全てのミッションが独立ではなく、技術的積み重ねなど、位置づけが重要   という意味で、戦略的にすすめるべき。 C:戦略的に進めざるを得ない、ただし入り口の部分では競争的なプロセスが   必要。そこからどうやって戦略的なプロセスに持っていくかが重要。 C:このように状況が動いてきた事で、戦略性を議論する事ができたのは良   かった。 司会:午後のサイエンス分科会での検討では、ロードマップにスペースは無いか   も、という危惧を持ちつつ、各ミッションが「必須」か、それとも「あれば   やる」か、の区別を各サイエンス班で行ってください。 (議事メモ執筆: ドラフト: 津村  校閲: 松原)