ガリレオ=ガリレイが望遠鏡を天体に向けて以来、望遠鏡は常に大型化しつづ
け、そのペースは100年で口径が4倍になるとも言われています。大型の望遠鏡は
建設や運用に多額の経費を要するため、天文学は「ビッグサイエンス」の一つと
しても考えられています。また、このような大型望遠鏡を使った研究では、多く
の研究者が一つのチームを作り、人類未踏の研究課題に挑戦するスタイルが取ら
れることも多くなってきました。ビッグサイエンスは世界最先端の研究成果を目
指すものであり、国際的な協調も欠かせません。
一方で、天文学分野には「研究対象が無限にある」という特徴もあります。研究
対象の多様性は、研究スタイルに多様性をもたらすこともあります。このように
大規模で最先端の「ビッグサイエンス」と共同利用による多様な「スモールサイ
エンス」が共存することが天文学分野の大きな魅力であると考える人もいること
でしょう。しかしながら我々の持つ望遠鏡には限りがあります。
そこで、今年の光赤天連シンポジウムでは「共同利用と大規模観測の調和」とい
うタイトルで開催します。すばる望遠鏡の国際運用や衛星計画とのシナジーなど
の大規模観測について、またTMT計画などの大規模計画について議論を行いま
す。引き続きこれらの議論を踏まえた上で「共同利用と大規模観測」や「大規模
観測と大規模観測」の間での整合性やバランスをいかにして取っていくか、意見
を交わしたいと考えています。
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