memo Day2 満田さんの講演に対する質疑  Q. 諸外国を見た上で、日本のやり方が欧米のやり方と大きく違う点はどこか。  A. JAXAの中でも筑波と宇宙研では違うが、物事を決める際と決める前の議論の2つを    どう分けるかの意識が違う。NASAではみんな研究者が勝手な事をいろいろ言うが、    それは意思決定の前であって、決定する場面というのをスパッと決めている。日本は    そのあたりに不明瞭なところがある。海外のやり方で感心するところ。  Q. 満田さんの関わられたプロジェクトの規模がどんどん大きくなってきている訳だが、    プロジェクトの規模が大きくなることで何がどう変わるか。  A. 基本にある考え方は同じ。X-IFUの場合だと、誰が何をいつ決めるのか、またその結果を    ちゃんと文書化して、という辺りは規模が大きい事もあり、かなりちゃんとやる。 山田さんの講演に対する質疑  Q. 山田さんが参加された2030年代に向けた国際会議では参加者の年齢分布はどうだったのか。    実際に使うことになる30代の研究者はそういう議論にどう関わる事ができるのか。  A. その国際会議では出席者は40代半ば〜70歳程度だった。HSTが5000億、JWSTが8000億    程度のミッションだという事を考えると次世代超大型ミッションは1兆円規模となる事も    考えられ、ESO所長とかそういうクラスによる議論となってしまう面はある。一方で、    コミュニティ内での議論や共同利用期間に立ち上げられる委員会内での議論もこれから    活発に行われる事が期待されるが、そういった場所でぜひ若い世代の方々に議論をリード    していっていただきたい。  Q. 次世代ミッションが大規模になる中、光赤天連とかそういう波長ごとのコミュニティで    議論してミッションを検討する事でいいのか、という山田さんの指摘があったが、    一方で宇宙研の戦略的中型のセレクションでは各波長コミュニティでの順位付けや    推薦を要請してくる事になっていて、どうすればよいのか分かりにくい。  A. 状況に齟齬がある面はあり、どう改善してこうかという議論は宇宙研にもある。  C. ミッション提案の時点で、波長が全面に出る形ではなく、トップレベルのサイエンスから    スタートして話を進めていくようなスキームができないかという事を考えている。  Q. LUVOIRではかなり議論が進んでしまっている。初めから議論に参加しないと    お客様になってしまうので、日本としては今すぐWGか何かを作って対応しないと    いけないと思う。  A. HSTやJWSTなどにはこれまで参加できず、WFIRSTでようやく少し関わろうとしている。    LUVOIRやOSTの議論はいま進んでいるところだが、アメリカ一国でできる話ではないので    多国籍での議論をいま始めようとしているところ。なので日本が何かしようとするなら    まだ手遅れではない。  C. 日本のGDPでアメリカや欧州と対等にやれるのかという点は難しい。地上はEAOという    動きもあるがスペースではそういう状況ではない。台湾や中国などの動きもあるし、    30年スケールで考えると東南アジアも重要。そういう枠組みを考える必要もあろう。 郷田さんの講演に対する質疑  Q. 未発見のBH-star連星系を探すというのはどういう話か?  A. モニタリングしている恒星の中から、伴星が見えないのに連星運動をしているような系を    探す話。GAIAに比べた優位性についてはこれから検討。分子雲から単独BHという    話も最近はあるが、マイクロレンズ効果を検出する事も可能かもしれない。  Q. ガイアとのシナジーはよく分かるが、それぞれからみた互いのメリットは何なのか。  A. Jasmineから見たメリットは明らかで、GAIAの経験を活用したい。向こうからメリットは    独立ミッションによる検証が欲しいという点と、開発した手法の応用先として。また    GAIAが終わった後、post-GAIAの間に橋渡しとしてJasmineが期待されている。 住さんの講演に対する質疑  Q. ナミビア望遠鏡とWFIRSTの関係とは?  A. WFIRSTで使わなかった近赤外アレイを使ってアフリカに赤外線望遠鏡を設置する。    これでWFIRSTの探査領域策定や同時観測によるサイエンスを進める。  Q. 2030年代につなげるため、WFIRSTは即時公開なのでそれでサイエンスができそうだが、    あえてプロジェクトに入っていくメリットは?  A. 計画に関わることが重要。サイエンスだけならアーカイブで良いが、国際協力で相手側の    チーム・サイエンティストと切磋琢磨しながら計画から作っていく経験を得る必要がある。  Q. 計画を立てるという点で先月会議に出てきたが、探査エリアの議論で南半球になってしまうと    すばるとのシナジーが厳しそうだ。  A. WFIRST の deep survey fieldの一部を北天に持ってくるというのは至上命題だ。    12月に国内で会議を行うが、それより前にも国内ワークショップで計画を練りたい。  C. すばるは既に日本だけの望遠鏡でなくなる。なのですばるの望遠鏡時間を提供する    というのは単純な話ではない。パートナーとの関係も含めて考えないといけない。  Q. 検出器に関する技術検討について。特殊な技術検討が行われているならその経験の    共有などのスコープは。  A. 情報は共有できるはずだ。今どういうステータスか即答できないが、各検出機を個別に    テストしている段階。安定性や残像など、即答はできないが。  C. H4RGのスペース使用の経験はこれまでないので、いろいろ試験が進んでいる。    高精度のアストロメトリが可能になるくらいのレベルになっているのかという点では、    WFIRSTの中でのアストロメトリWGが検討を進めている。サマリー論文が8月くらいに    出ると聞いている。 土居さんの講演に対する質疑  Q. CCATがあるにも関わらずTAOで電波の観測がしたいという声がかかっているのはなぜか?  A. もともとは電波(テラヘルツ帯)の装置を搭載したいと声がかかった。その後別の    電波望遠鏡を使うことになったので、現在は電波サーベイと連携した赤外線サーベイの    実施を希望している。 長田さんの講演に対する質疑  Q. インドネシア3.8mができた場合の協力はどう見込まれる? 先方は国際協力に不慣れ?  A. そのあたりはまだ。29Mで果たしてできるのかも含め注視しているところ。    国際協力の経験は何らかあるようだが。でもprimitiveな部分もあるようだ。  C. 東南アジアは基本的にゆるい感じでなかなか進まないが、みなさんすごく楽観的な面もある。    進め方によってはうまく行くのではないか。お金も向こうの方があったりすかもだし。    ゆるさはあるが、インドネシアはオランダとの歴史もあるのでヨーロッパとのつながりもあり、    案外慣れている面もある。 内海さんの講演に対する質疑  Q. HETE地上受信局を作るためパラオ等で仕事をした事があるが、向こう側の研究者が    いろいろやってくれたためにスムーズに行った面があった。このHinOTORIは現地研究者に    うまく頑張ってもらえなかった点が問題だったのでは? 完了側が問題だったのか?  A. そういう面もある。行政にも入り込んで頑張ったが、担当者の机で書類が止まってしまったり    いろいろあった。日本みたいに、書類を出したら進むという保証はなく、途中で止まったり    する事もある。日本で当たり前の事が当たり前に行くとは限らない。  C. 本当に机の上に書類を置いて何もしないとかいうケースもある。 永山さんの講演に対する質疑  Q. なぜそのように良い条件で協定が結べたのか。  A. やはり人と人との話。例えば、その時の先方の台長は日本にも滞在経験があったりとか、    我々が行く前から関口さん等が南アフリカと友好的関係を作っていた事とかが良いように    働いたのだと思う。アパルトヘイト終了後で国際社会に復帰しようとしていたタイミングと    合っていたという面もあるとは思うが。 川端さんの講演に対する質疑  C. 国際連携を前提としていない、というのは少し違和感があり、GRBフォローアップでは    国際的なアラートを受けて活動をしている。エジプトの天文台では吉田さんとの関係で    データを取ってもらって成果となっているという事もある。どんどん声をかけて    広げようという事にはなっていないが、国際連携とは関わってきている。    あと国際連携とは少し違うが多波長連携という話もある。電波でも大学連携があり、    VLBIなどが進んでいるので、電波と光赤外との間での連携についても機運が高まって    きている。 石黒さんの講演に対する質疑  Q. 大学1年生へのカウンセリングという所で、別の国の学生への対応は大変なのでは。  A. 思ったほどは難しくない。お互いの距離感を縮めるのは大変だが、英語を使うことで    表現がstraightforwardになるため、かえって話しやすくなる面もある。  Q. 天文学者の7割がKASIにいるとの事だが、サイエンスのアウトプットもそういう割合か?  A. アウトプットの内訳が公表されている訳ではないので調べられない。 竹内さんの講演に対する質疑  Q. 君子危うきに近寄らずという話があったが、その際断ったケースはどれくらいあったか?  A. 今まで5人はある。受け入れた人数に比べると少ないが。単にその国を出て日本に    行きたいだけというケースが散見される。気をつけた方がよい。  Q. 推薦者に直接コンタクトを取るというのは、どういう方法でどの程度の内容を聞くのか?  A. 正直に、本人について書面に書かれていない事、例えば海外で一人でやっていけそうか、と    聞く。あと本人の周囲の方に聞いたりする。電話やスカイプで。 児玉さんの講演に対する質疑  Q. デメリットもいくつか挙げていたが、どう学生に克服させているのか。  A. 知らない。自分でなんとかしているのでは。笑 伊藤さんの講演に対する質疑  Q. 東工大のチームはJ-GEMにも参加している訳だが、J-GEM側にはそれ用のアラームシステムが    あり、それとの交通整理はどうなっているのか。コラボレーションできればいいのだが。  A. 基本的にはPTFで見つかるまで時間がかかるので、それまではJ-GEMを優先させている。  C. コラボレーションは交渉次第。GROWTHは当初に比べて参加機関が増えてきている。    ただしboardの承認手続きなどは必要になると思われるが。  Q. GROWTHで開発したツールは他に使えないのか。  A. むしろJ-GEMを参考にして作った面があるので、ぜひフィードバックしていきたい。 橋本さんの講演に対する質疑  Q. EACOAやEAOの話が昨日あったが、それらとの関係はどう考えるべきだろうか。    中国が分光器開発で参加しているという話もあったが。  A. どこからが東アジアでどこからが東南アジアなのかは分からないが、交流は既にいろいろある。    EAと一緒にまとまるというのは難しいのでは。カンボジアとタイの仲が微妙だったり。  Q. international school for young astronomer という話もあり、以前に    岡村さんから頼まれて講師をしたり、日本でもホストをしてほしいという話があったり    する。IAUが旅費を持つが開催国がホストをしないといけない。ぜひ赤外線装置のある    ところでホストをやってほしいという話もあるので、NAOJの支援をぜひお願いできると    いいと思う。関口さんのところに話を持っていったりはしているのだが。  A. 実現できるといい。  Q. 可視の紹介が多かったが、赤外や電波についてのアクティビティは?  A. 光赤天連シンポなので割愛したが電波でのアクティビティもある。例えば電波分野で    外国で学位を取ってから帰国してきた人もいる。ただfacilityがないのでどこまで    できるかは難しい。電波望遠鏡を作りたいという話もある。  Q. すばるschoolをベトナムでやろうという話もあったが、可視は気候的に大変らしいと    聞いた。気候的には電波の方が有望そうだ。他の東南アジアも似たような状況なのか。  A. ベトナムは一枚岩なのか違うのかちょっとよく分からない。人間関係が難しそう。    まずベトナムは国内でうまく組織化した方がいいような印象。