近年推進されている大型プロジェクトは,その規模のさらなる大型化も相まって,関連分野の研究者コミュニティを超えた,あるいは天文学という枠組自身を超えたビジョンを持つことにより実現している.すなわち,各プロジェクトを有機的に結び付け,戦略的に進めるためのビジョンを共有することが必須となっている.2020年代に向けては,日本学術会議によるマスタープラン2020の策定に対し,科学的意義や学問の発展性に基づく戦略を,今一度,練る必要があろう.また,2030年代に向けては,米国他ではすでに大型ミッションの検討が始まっている.
光赤天連でも「20年後までのスペースミッションを考えるワーキンググループ」を設立し検討を行ってきたが,スペースに限定せず,より萌芽的に我々自身の未来を検討することが求められている.そこで今回の光赤天連シンポジウムでは,マスタープラン2020へ向けた討議,および2030年代に向けた布石として,ポストTMT,ポストすばる,ポストSPICAなどの長期的な戦略も含めた将来計画についての議論の場を設ける.
本シンポジウムでの議論を光赤外将来計画検討書「2030年代の光赤外線天文学」作成の足がかりとするだけでなく,具体的な将来計画立案のきっかけとしたい.
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